01〜0506〜1011〜1516〜2021〜2526〜3031〜3536〜39

 36 バティック ビーズのバッグ

 何でも真似をしてしまえ、というのは先進国を追う国のもつ技である。
 そのままそっくり真似をするのは芸がない。そこで、インドネシアには昔ながらの独特な模様をもつバティックがある。このバティックの図柄に合わせるようにビーズを嵌めていく。するとバッグは新しいものに変わる。


 このバッグを上手にディスプレイしたら売れるに違いない。だが、多くの店では埃だらけのままぶらさげてあったり、日焼などには平然と店に置く。いろんなものがいっぱいある中から良いものを探す術に長けた人というのがいるが、そういう人にかかると、その才能に畏敬の念を抱いてしまう。またこういう人は何が売れるのかもよく知っている。不思議な人達である。
 先日、ビーズ専門の雑誌を立ち読みした。写真をみていると日本のビーズ技術がすごい。やっぱり、ビーズを使っても、どこか粗さのあるバリのものはバリ スタイルとなっている。


 37 アマンキラが誘うもの

 ガイドブックでは必ずと言っていいほど登場するアマンキラのプール。
 フロント側から見るとプールが海とつながっているように見える。
 「贅肉をそぎおとしたようなホテル」とか「究極の隠れ家」とか言われて、バリ島のホテルイメージを変えた。白いパラソルがある。脇にバレがある。子供客はいない。ひっそりと静かにあるだけのようである。
 「何もしない贅沢」をひたすら味わう場所である。完全にプライベートが守られる。下品な連中はこない。たとえ下品であってもここにきたら、下品さもそぎおとされてしまう。
 秘めた恋、誰にも知られたくない恋、つかの間を二人だけでせい一杯過
ごしたい日々。あるいはふたりそれぞれに違う幻想があって、一時の共通した幻想にとらわれた旅。


 38 アマヌサの月

 前回はアマンキラのプールだったので、今回は筆者が一番好きなバリで場所を紹介したい。これをバリ スタイルと言っていいかどうか、訪れた読者に判断を仰ぐしまない。
 このホテルの玄関をとおり左のほうにいくとちょっとしたテラスのようになったラウンジがある。ここから「テラス」というアマヌサのレストランの屋根の左斜め方向に月が昇る。小高い丘にあるアマヌサの上の月の光が静か下方の町やジャングルを照らしだす。満月のアマヌサが美しい。遠くかた祈りのような歌や音楽が聞こえる。すぐ側では下のイタリアン レストランのプールサイドで スマール プグリンガンという眠りの前の音楽と踊りが演じられている。月をもデザインに入れたこの設計者の顔が見たいと以前から思っている。
 幻想の世界に取り込むのは満月だけではない。ロビーに並ぶ、セダッ マラムの高貴なにおいも充満し、いっそう気分を盛り立てるのだ。
* 写真を何度も挑戦したが筆者には無理なようです。昼の写真を参考に想像してみてください。


 39 椰子と紫色の夕暮れ

  思いに沈む時があっていい。毎日毎日プラス思考で考えるなんて、人間、おかしくなってしまう。自分のことを考えるとわけがわからなくなる。自分というのはわからないのだから、とわかっていても、考えてしまう時がある。たぶん考えてしまうほうが自然なのだ。
 バリでは陽が沈んでからの完全に闇が訪れるまでの間、空が紫色になる時がある。そういう場所が幾つかある。必ず椰子の木がある。海がなければいけないのか、と思ったが、ウブドゥからの帰りがけにも見たからそうでもないようだ。
 一時呆然としてしまう。家路を急ぐ人が歩いている。
 目が馴染むと、今度はしばし自分を見てしまう。好きな人といっしょならロマンティックになるだろう。一人だったら、この風景を誰に見せたいか考えるだろう。そう、考えて、さらに自分のことを考える。
 埒があかないので紫色の風景をしばし眺める。どうしたいのか、考える。いつまでも繰り返しだ。そして夜が来る。

01〜0506〜1011〜1516〜2021〜2526〜3031〜3536〜39