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31 衣裳箱
オベロイのようなビラタイプの部屋に置いてある衣類入れ。ベッドの足側のほうに置いてある。本当の名前を知らない。バリのシタイルは、箱に木彫があり、青や赤の色が塗ってある。デザインのモチーフは花である。 たぶん、寝室で裸になって、それからバスロブなり、パジャマなりを着る。その時に、今日着たものをどこに置くか。チェアーにかけるように放るか、たたんでクローゼットにしまうか。そのへんに投げ出すか。 そこに衣類箱がある。下着も、なにもかもそこにいれたらよい。 けれど、それは部屋の中の飾りであって、あくまでも飾りであって使うものではない。 しかし、これを見ると、ちょっとよい気分になる。不思議なものだ。 価値とは わからないものだ。 32 トペン
アジアの果て日本は、ユーラシア大陸の一方の果てとして、また南方の島々からの潮の果てとして存在していたに違いない。様々な人々が日本列島にいた。一つの面がそれを物語る。 日本の能面は、さらに表情があいまいになり、幽玄となるが、面の作りにも雑さがない。 バリ人が作ったこの面は、どこか表情が固定しているように見える。しかし能面のようでもある。憑いた表情とでも言おうか。 一つの島でこれほど面が多いのはなぜなのだろう。人間の心の奥底を素で見せるのは余りにも薄気味悪い。あるいは人間には様々な表情がある。 その表情は身体と言葉で見せれば、顔は象徴的な物の怪のような顔でよいということなのだろうか。 33 ドント ディスターブ
男女それぞれが唇に一指し指をあてている。「シーッ」と言っているようだ。木彫りの1対のマスクである。トイレのドアに貼ってあるところもある。おもしろいので探すのだがなかなか見つからない。 お茶目な感じがして、気が和む。本当は何と呼ぶのかわからないがバリ人達は英語で「Don't Disturb」と言う。ジャンゲールの変形で、だれかお茶目な人が作ったのだろう。ひとひねり、ふたひねり、既製のものを変形していくことが観光客を相手にする製作者達の宿命である。 これはトイレや自分の部屋のドアにつけるものだろうか、と考えてみる。 男女の1対が指をたてて、互いに「シーッ」としているのは、まだ二人の恋を皆に知らせる時期ではない。まだ密かにいよう、というような二人の合意なのではないか。わくわくした秘密の楽しげな明るさがある。 写真は小さくした マグネットである。 34 鳥追い
ヤングアーティストと呼ばれる絵画のスタイルがある。1950年代にオランダ人の画家の影響によりバリで生まれた表現スタイルである。田で働く人の姿が小さく横向きに何人も描かれ、背景は青色をしている。黄色をしているのもある。AさんもBさんもCさんも変わらないような描きかたをしているのは、書く人の無意識がでてしまっている。 「みんな同じ」 でなぜ、「鳥追い」なのか。収穫期を迎える田園は深い黄色になる。この色は日本にはないのである。ヤングアーティストの作品の一部にこの色が使われている。バリ人も忘れてしまうのではないか。竹を鳴らして鳥を追う。みんなでするとりっぱな音楽になる。実った稲はざわざわと風に揺れるが放つ黄色は目に鮮やかに差込み、熟したエネルギーで田園を騒がせ続ける。 した平面図。人間の顔もみんな横顔である。つまらないといえばつまらい。 ところが、これを模様の一種と考えれば、素敵な絵葉書や招待状ができるし、素敵な服などへのデザインともなる。伝統的な5色(赤、青、茶、黄肌)を使うとされているが、黄はは金に見える。金だと思う。他の4つの色とのバランスを保つにはやはり金でないと。 昔1通の絵葉書をバリ島の友人からもらった。カマサンスタイルの絵だった。どこかに置いておくには惜しく、自分の仕事場の壁にピンでとめておいたのをおぼえている。 現在、このスタイルで描く画家は少ない。今、美術館などで鑑賞できるのは画家としての職業が成立していなかった頃のもので作者不明のものばかりである。 35 金の指輪
では男性の指輪は。指に視線をあててもらいたい? バリ人の中年以降の人がする指輪には戸惑いを感じる。富、地位の象徴のようである。 慎ましくもくそもない。金キラであり、コテコテであり、太く、大きい。 しかし、なにかしら、強者を感じさせる。フェロモンが倍増しそうである。どうにも指輪になじめない。仮に明日からそれをつけたとする。友人とお茶を飲みに行ったとする。あるいは女性と話す機会があったとする。 たぶん人格がかわるほどの力があるのではあるまいか。 |
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