バリは今(2005年8月)

雨季支度              by Aki
この時期のBaliは風が強い。
雨雲があってもすぐに風が散らしてしまうからなのか、どんよりとしていても滅多に雨は降らない。
洗濯物はすぐ乾くし、涼しくて過ごしやすい。
また夜・朝方などは寒いので毛布に包まれてウツウツ眠るのは実に至福の時である。


しかしである。
連日連夜の強風のお陰で家の傷みが激しい。
トタンの屋根は剥がれるわ、屋根の瓦は飛んでくわ、物干し竿も洗濯物を乗せたまま飛んでくわ、TVのアンテナは折れるわ。
花々は散るわ、吹き飛んできたゴミは庭に溜まるわで何だかバリの道中色んなものが散らばっている感じである。


先日幹線道路がちょっとした渋滞になっていて、ひょっとみたら道に、3メートルはあろうか、パキパキと所々凹んだ長細いトタンが横たわっていた。
何故誰も除けないのだろうかと訝っていたら、向こうから大人2人と子供数人が走ってきた。
ニタニタと笑いながら「ドーモドーモ」ってな感じで皆で担ぎ来た道を戻って行った。
自分ちのだろうか、お隣さんちのだろうか。
屋根の一部が飛んで来て探しにきたのだろう。
この後自分の住んでる家が気になりチェックしたら屋根の一辺と瓦が数枚、やはりなくなっていた。
飛んでいってからすでにどれくらい経つのかも定かではない。
そういえば最近屋根裏に猫の足音がしたり、風が吹くたびにバコバコいっていた音も聞こえなかった。


よく見たらどこの家々も、どこかしら欠損個所がある。
片方だけかろうじて剥がれずにいるトタンがブラブラと風になびいていたり、瓦が無くなり穴の開いた屋根。
どこの家からも、トントン、カンカン、ギュゥィーンと家を修繕する音が聞こえるここ最近。


草木は傾がり、ビニール袋は舞っている。
まもなく雨季が訪れる。


あり得ない!              by Aki
2002年のレギャン爆弾テロは日本に住む人達の中ではすでに遠い出来事だろう。
バリでも爆弾テロの遺族や関係した人たちを除けば、そろそろ遠い出来事になりつつあるみたいだ。
あの爆弾テロの影響により、「観光地としてのバリはもうダメだ」などと言われる程、深刻な状況が長く続いたバリはどこへやら。
危険勧告を発令している国もあるのにも関らず、今では以前にもまして観光客が押し寄せている。
なにしろ景気のよいのは良いことだ。


ここは爆弾の被害者が運び込まれたSanglah(サンラ)国立病院。
当時たくさんの死体が運び込まれた部屋。
黒焦げとなり、ただの肉塊となり、千切れた一片となったものが床に所狭しと並べられ、熱さと腐敗臭でむわぁっとしていたのが嘘のように今では人々が行き交っている。
当時は夜になるとすすり泣きや、「熱いよぉ、助けてぇ」と助けを乞う声、誰かを探す声がしていたそうだが今でもそれは変らないそうだ。
不運にも命を落とした人達は未だにどこにも行けず、あの部屋を彷徨っているのだろう。
爆弾テロ実行犯らが一向に裁かれないからだろうか。


先日インドネシア政府はこれら爆弾テロ実行犯らに対して刑期短縮を決定した。
この決定に「全くもって無礼な行為だ。全てのオーストラリア国民は激怒している」とオーストラリアハワード首相。
202名の内被害者の内、88名がオーストラリア人だった。


周囲のインドネシア人達も声を揃えて言う。
「実にあり得ない話」であると。


『男・男・男!男』が欲しい!            by Aki
子供を持つことが「第1に大事」なこととされているバリの社会。
とくに「男の子」を産めよ、が女に生まれた人たちに失礼ではないかと憤慨してしまうほどあからさまである。
妊婦に聞いても夫に聞いても当然のように「男の子!!」と言い切って憚らない。
当然周りからの暗黙のプレッシャーで条件反射的にそう言ってしまうことも多分にあるのだろう。
特に母親候補にしてみれば「五体満足ならばどちらでもいい」、というのが本音だと思うのは見当外れではない筈だ。


 昔から「男子出産」が賞賛されていて、上位カーストではそれは半ば強制的のようだったらしい。
男の子を身ごもれない妻は、夫が第2婦人を娶ったり妾を持ったりするのはまだいいほうで、離縁されてしまうことも普通であったようだ。
現在でも「子供が出来ない」「男の子が出来ない」のは完全に妻の責任としてしまう風潮がある。
不妊を診てもらうのにドクターに診察を受けるのは圧倒的に妻側だ。

知り合いに男の子が生まれないために関係が冷えてしまった夫婦がいる。
子供は二人までと思っていたのに二人とも女の子。
妻は欲しくはなかったが周囲(夫側の親戚)の蔑みと、なによりも夫の気持ちが自分から離れていっていることに気付き3人目をつくる決心をする。
3人目が女の子だったとき目の前が真っ暗になるほど絶望感を感じたそうだ。
そしてさらに4人目までも女の子。
俗に言う「女腹」なようだ。
現在旦那は他に男の子を産んでくれる女性、第2婦人を探している。
第2婦人を娶るには第1婦人の同意が必要なのだが、男の子を身ごもれない妻は承知せざるを得ない。
こればかりは神が決めることだから、バリアン(伝統呪術師)にいったところでどうにもならないそうだ。


 そんな最近。
当然バリにも以前から色々な産み分け法があったが、今度のはナントカ研究所が太鼓判を押しているという(?...といってもその成功率は70%〜80%とかとか)方法が流行っている。


男の子をつくるためには;
1.夫がハイプロテイン食品(肉などの動物性タンパク)を普段から摂る
2.俗に言う危険日の2日目に性交をする
3.交接の15分〜20分前に、200ccの綺麗な水で溶いた15ccのベーキング・パウダーを女性部に塗る


.................んだそうだ。


ちなみに女の子の場合は;
1.夫は普段から野菜を多く摂る。
  妻はハイプロテイン食品(肉などの動物性タンパク)を普段から摂り、膣内を酸性に保っておく
2.俗に言う危険日の2日目に性交をする
3.交接の15分〜20分前に、200ccの綺麗な水と15ccの酢を女性部に塗る


何の保証もない割に高い診察費の婦人科での不妊治療よりも、お手軽で安上がりな故、流行っている気がしないでもないが...。


ちなみに周囲の中で成果が出たという話はまだ聞かない。



鉄の日                 By Aki
去る8月6日(土)はTUMPEK LANDEP(トゥンプッ ランドゥッ)という『鉄の日』。
毎日の生活に関係する鉄製品を清める日で、破壊と創造の神シヴァ神が掌っています。
車、バイク、電化製品、刃物や、農具..。
バリの人達は毎日のお供えと同じく、日常的に自分達の乗り物にもお供えをする人が多く、事故を起こしたりすると、「普段のお供えが足りなかった」などと言ったりします。
 

この日はまた特別。
変らず良い状態で生活に役立ってくれるよう、念入りに洗って手入れしてから、聖水とお経で清めます。
この日バリを走る車・バイクはピカピカに磨き上げられ、お飾りをしています。
日本でも正月に車にしめ飾りをしてますね。
現在でもその風習は残っているでしょうか?
走っている車の前ナンバーのところに下がっているしめ飾りを見るといつも、しめ飾りの真中のミカンがいつ落ちるんじゃないかと気が気でなかったのですが、ここでもお供えをただ挟んで走っているだけなので、やはり気が気ではありません。
椰子の葉できたお供えは向かい風や走行の振動ですぐに、バラバラと風に散っていくのですが、人々はあまり気にしてるふうでもありません。


この日バリ中の道路は、飾り立てられた車・バイク、散乱しているお供えなどでなかなか風情な光景です。


命の水水水
                  By Aki
ここで大衆が日常飲んでいる水は、飲料水として市販されているミネラルウォーターだ。
キャッチコピーには「アグン山、バトゥール水源・ミネラル配合」とある。
が、成分表表示が義務付けられてないお国柄、その割合までは判らない。


数年前から中身だけを売り出し始め、この水商売は大ブレークした。
その「アグン山、バトゥール水源」の湧き水を浄化だけした水を、ガロン容器を持参して、<飲料水手動販売機所>で詰めてもらう。
洗剤などのように始めに容器ごと買えば、次回からは「詰め替え用」とい中身だけを買えばいい、あれである。


新しいのを容器ごと買えばRp.7.500〜Rp.8.000 。
“詰め替え水”は始めにRp.20.000〜Rp.35.000でガロン容器ごと購入し、次回からはRp.2.500〜Rp.3.500といったところで、配達してもらったり巡回しているバイク便などから買えばRp.500程が上乗せしてある。
もちろん余裕があるところは“詰め替え用水”なんかは使わないが、より安い故、庶民層にはすっかり定着してしまった。
この“詰め替え水”の販売所は今では溢れており、価格競争のためだろう質が落ちてしまったという。
実際、恐ろしい噂が絶えない。
水道水から汲んでる、とか、川の水を汲んできてる、という。
それらを水業者はタンクに詰めて各販売所に卸す。
販売所に設置してあるタンクから濾過機を通して消費者に売るわけだが、これは浄水器ではない。
単なる濾過機である。
このことは周知の事実なのだが、誰も業者や販売所を訴えたりといった話は聞いたことがない。
暗黙のまま安い水は買わないようにしたり、業者が販売所に卸した直後(水がタンクに移し変えられた直後)は買うのを裂け、微生物や混入物が沈殿した頃を見計らって買いに行く、など皆それぞれに努力している。
<安かろう良かろう>、の風土(?)も、こと水に関しては安いのは買わないみたいだ。
炊事用にはそのまま、飲料水は1度沸かしてから、と使い分けているところも少なくない。
皆、懐疑的だが、飲料を止めようとはしない。
やはり、水道水よりは幾らかましだと思っている。

先日何の通知もなく、4日間もの間水道水が濁茶色だった。
その臭いはまさに土臭く、さらには汚染された川の臭いであった。
水道水から出てくる水は薄茶色く濁っているのが普通で、蛇口からミミズなどが出てきていた以前に比べると、最近は水道水はましになったものだが、それでも沸かしたとしたって飲めたものではない。


衛生面で首をかしげつつも、やはりまだまだこの“詰め替え用水”は飲まれていくのだ。