* バリ・アガの伝統
カランアッサム県にTENGANAN(トゥガナン)という有名な村がある。デンパサールから北東へ約70km、時間にして約1時間半弱のところにあるこの村は、ダブル・イカット(縦横絣)『グリンシン(GRINGSING)』と呼ばれる、その製作に1枚数年を掛けるテキスタイルの産地として、一部外国人のバイヤーが買い付けなどに訪れる村だ。
しかし、この村が外国人観光客を惹き付ける理由はほかにもある。毎年6月中旬(今年は15日と 16日に開催)に行なわれる『PERANG PANDAN(タコノ木戦争)』がそれだ。これは、2人の男性がアトゥ(籐のようなもの)で編んだ盾を左手に、短剣に見立てたタコノ木の葉を右手に握ってお互いに相手を叩き合う1対1の戦争のことだ。
タコノ木の葉は、大き目の棘のたくさんある細長いサボテンのようなもので、この短剣を使って相手の肌(特に背中部分)を傷つけて出血させることに焦点が当てられている。トゥガナンに伝わる古い言い伝えによると、その昔、トゥガナンは暴政を敷くMAYA DENAWA(マヤ・デナワ)と呼ばれる王様に統治されていて、ある日この王様は、自らが神様になると宣言して自らの民に対して宗教儀式の執り行ないを禁止してしまった。これを知った神々は、DEWA INDRA(インドゥラ神)を地上に派遣してマヤ・デナワを倒しました。この伝説を信じる村人は、『PERANG PANDAN(タコノ木戦争)』という儀式の形で、いまだにインドゥラ神を崇めているのです。
このほかにも数々の独特な宗教儀式を守り続けているこの村の人々は、キンタマーニ高原はバトゥール湖にあるトゥルニャン村の人々と同じく、バリ・アガと呼ばれる。バリ・アガは、14世紀ジャワ島からやってきた『マジャパイト王国』がバリ島を制圧する以前にインドから移り住んできた人々の子孫だとされている。上述のほかにも、カーストがなかったり、火葬のしきたりがなかったりと、バリ・アガの人々には特徴深い事柄がたくさんある。
バリ島の生い立ち的な歴史は、ジャワ島中東部に栄えたヒンドゥー・ブッダを信奉するいくつかの王朝がギャニャ−ルのぺジェン地域に移り住んできた(侵略!?)ことと関係が深いようで、当然、ジョグジャカルタのヒンドゥー文化とも密接なつながりがある。いつのことになるか分からないが、専門書でこの辺のことを勉強することが出来た暁には、また紹介させていただきたいと思う。
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