No.9 Kuda Wanswara( ワンスワラ という馬 )

 バリにブダフラ王という有名な王様がいました。その王様はワンスワラという馬を飼っていました。王様はその馬をこよなく愛しました。美しく忠誠心のある馬だったからです。
王様が外出するときはその馬は王様がいきたいところはどこでも安全に連れて行きました。前に二人の守衛がいて馬と王様を守ります。ワンスワラは金でできた冠と銀とダイヤモンドの飾りをサドルと尾につけています。優雅に見えました。人々は賞賛し、王様と馬を見るのを誇りに思いました。


 しかしそれは長くは続きませんでした。ある晩、ワンスワラがいなくなりました。翌朝守衛がそれを発見しました。宮殿の者達は悲しみました。王様が特にそうでした。昼も夜も王様はぼんやりと物思いに更け、食べ物も飲み物も口にしませんでした。王様はバリ中の村を探し、馬を見つけるよう配下の者たちに言いましたが、無駄に終わりました。家臣達はその馬のことを忘れるよう王様を励ましましたが、効き目がありません。王様は日に日に悲しみ、痩せていきました。


 「もう一度配下の者と村人達にワンスワラを見つけるよう告げよ。」と王様は家臣達に言いました。
「生きていようが死んでいようが見つけた者には褒美を取らせるぞ。またもしワンスワラが生きていたならその見つけた者を副大臣にしよう。もしも死んでいたら、その者に土地を与えよう。その広さは死骸の匂いが届くところまでじゃ」と言いました。


 みんなその馬を探しました。ある者達は川を超えて西に行き、バトゥカル峡谷まで行きました。またある者達はブレレンの岸の沿って北へ行き、ある者達はウルワトゥあたりの南の方まで行きました。数ヶ月が過ぎましたが見つかりません。


 長い時が過ぎました。東のほうに探しに行っていた人々から知らせが届きました。タンジュン ビル という男がその馬を見つけましたが、死んでいたという知らせでした。
馬の腐肉はバリの南東の美しいチャンディダサの海岸に横たえられました。
その知らせを聞いて、王様は悲しみました。彼がした、馬の腐臭が匂う限りの土地を与える、という約束を破るわけにはいきません。
「その場所に行き、タンジュン ビルに土地を与えろ。」と家臣のものに言いました。
腐肉を置いて、家臣とタンジュン ビルは一緒に歩きました。一歩ニ歩、三歩・・・・と西へ、北へ、東へと歩き続けました。しかしまだ腐臭がします。家臣はタンジュン ビルのしかけに気が付きませんでした。
タンジュン ビルは広大な土地が欲しかったので、その馬の骨を彼の衣服に入れて歩いてたのです。だから歩くところはみんな臭いがしたのです。
ついに丘の上に来ました。
「タンジュン ビル、お前は幸運な奴だ、この丘からチャンディダサの海岸までお前の土地だ。」と家臣は息を荒げて言いました。
このようにしてタンジュン ビルは丘から南の海岸までの土地を手に入れたのです。彼は海岸の近くに家を建て家族と住みました。一方遠く北にある丘は森として手入れをしました。


 時が過ぎ、ある日大津波が南海岸を襲いました。タンジュン ビルの家はもちろん多くの人々も犠牲になりました。彼らは丘に移動しました。
その丘の名前はやがて村の名前になりました。今では有名な独自の文化を持ったテガナンといいます。バリの東デンパサールから65kmのところにあり、丘の上には馬の骨を表す岩があります。この岩を見ると人々はワンスワラの話を思いだします。