18.お釣り

何かを買うとお金を払わなけらばなりません。
一番よいのはちょうどピッタシの額を払うことです。
なんたって面倒くさくない。
払わなければならない額より大きな額のお金で支払う。
するとあるシステムが介入してきます。
どういうシステムか?
渡した金額と買ったものの値段との差額が戻ってくるというものです。
これが面倒くさい。
バリでは特に面倒くさい。
...ったらありゃしない位面倒臭い。


手間取ったしても最終的にめでたしめでたし..ということになるのなら問題はない。
こんなもん書いてない。


散々手間取り、待ちに待って、そのうちイライラしてきて、約束の時間にもすでに遅れ、そのあげくにお釣りはもらえず不本意のチップと化してしまう、ということが時として起こる。
確かチップの日本語訳は心付けだった筈だが。


昔話は昔であるからめでたしめでたしで終わるのだ。
今は現世。
めでたく終わらないのは仕様がない。


商店の類は現金がなければ物品があるからそれで代用できる。


スーパーマーケット。
現在インドネシアでは Rp.25が最少額の金券だ。
だのに売られているものは私が知りうる他のスーパーマーケットと同じで、一の位まで数字が並んで表示されている。
たとえばRp.937。
Rp.1,000で支払うとするとお釣りはRp.63。
Rp.25が一番細かいのであるからそれを2個出したとしたってRp.50であり、あとのRp.13を返すことは不可能だ。
実際はRp.100以下は返ってはこない。
Rp.500以下だってほとんどがキャンディ払いだ。
たとえ現金があったってキャンディで支払われる。
これが結構嬉しい。
何のことはない、買っているのだがなんだか嬉しい。
ペパーミントのキャンディだとかなり嬉しい。


しかし閉店後のレジ閉めは絶対金額が合わない筈。
そこのところどうしているのか是非知りたい。
だれか教えて。


ワルン。
同額のものを選べる。
要は買いたくもないものを買ったというだけなのだがまぁよしとする。
なじみのワルんだとツケという手もある。
次に来たときに差額を差し引いてくれる。
...という約束でその場を収めるのが常だが実行された試しがない。
客も店側もいちいち覚えていない。
買い物に行ってお金が足りなかったときはいとも簡単に後払いにしてくれるし、かなりのなじみだと手ぶらで行っても買い物できる。
人間味があって宜しいではないか。
そしてこれで潰れるワルンは少なくない。


サーヴィスを売る場合。


タクシー。
殆どがチップとしてせしめる狙いなのか小銭を所持してない。
いや、「ない」と本人がいうだけで案外隠しもっているケースが多い。
しつこく粘るとそのうちダッシュボードを開け始めたり、ズボンのポケットをまさぐったりするからほぼ間違いない。
でも大抵、端数は上げちゃう。
だがとんでもなく態度の悪いドライヴァーなどの時は釣りが返ってくるまでは絶対に降りない。
ドアを空けたまま意地でも座り続けている。
「しめしめ」と金を勘定して収めるべきところに収め発進しようと、ドライヴァーは後ろを振り向く。
鼻歌交じりで振り向く。
ぎょっ。
そこには釣りを諦めて降りた筈のさっきの日本人がじーっと恨めしそうに自分を見つめていた。
こんな怖い思いをした覚えのあるドライヴァーは反省しなさいね。


しかし基本的にはここの人は少しぐらいの金は気にしないようだ。
定価の国からやって来た人間ほど気にするらしい。
しかもその定価の国からやって来た者にしてみれば自国の物価には換算できないほどの小額なのに
いや、Rp.100多いの、いや、Rp.50少ないのと生真面目である。
Rp.500の借金の返済を迫って笑い飛ばされた過去を持つ身としては実によく理解できるのだが。